遺族年金は、遺族の生活保障のためにあるものなので、相続の対象ではありません。
年金受給者が死亡した場合、受給要件を満たせば、遺された遺族は遺族年金を受け取ることができます。したがって遺族年金を遺産分割協議の対象にする必要はありません。
◼︎遺族年金とは?
遺族年金とは、被保険者が死亡したときに、遺された遺族に対して支給される公的年金のことで、以下の2種類があります。
(1)遺族基礎年金(国民年金に相当)
(2)遺族厚生年金(厚生年金に相当)
亡くなった人が国民年金に加入していた自営業者なら「遺族基礎年金」が、厚生年金に加入していた会社員なら「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が、受給の対象となります。ただし、受給要件や受給権者はそれぞれ異なります。
(1)遺族基礎年金(国民年金)
・支給要件
被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。
・対象者
死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある配偶者 (2)子
※子とは次の①または②に限ります。
①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
②20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級で未婚の子
(2)遺族厚生年金(厚生年金保険)
・支給要件
1. 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。
2. 老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たした者が死亡したとき。
3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けている者が死亡したとき。
・対象者
死亡した者によって生計を維持されていた、妻子、孫
(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
55歳以上の夫、父母、祖父母
(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金も併せて受けられます。
◼︎遺族年金を受け取るための手続き
(1)亡くなった方が現役の加入者の場合
国民年金加入者の場合は、「国民年金被保険者死亡届」を市町村役場に提出します。
厚生年金加入者の場合は、会社を通じて「資格喪失届」を提出します。
(2)亡くなった方が年金受給者の場合
年金事務所へ「年金受給権者死亡届」を提出します。
◼︎相続に関わる名義変更手続き
不動産の名義変更(相続登記)の手続き
生命保険金の請求
預貯金の名義変更
株式の名義変更
遺族年金の受給